昔、変人のドイツ人にドイツ語会話を習っていた。初回は授業についての段取り説明をされたり、生徒おのおのが自己紹介したりしていたのだが、私の番になった瞬間、ドイツ人は一瞥するや、
<strong>「オーウ、サームラーイムースメー!!」</strong>
と大声で言いやがった。
髪を一本結びにしていたせいだろうか(しかし髷結いふうではない、低い位置で結んでいた)。それとも、九州から上洛したばかりの田舎娘が、九州女児の気概を発散しているようにでも見えたのか。私は目つきが悪いので後者が疑わしい。確かに父方は武士の家だったらしいが、なんか金貸しもやってたらしくわけわかんないし、もう明治くらいの頃には農民になってたし、母方はすなどりが生業だったため、私はサムライムスメではない。ヒャクショウムスメである。
ちなみにそのドイツ人、<ul><li>「カベができるマエに東から逃げてキター」</li><li>「ワタクーシは……貴族!(これはどうやら本当)」</li><li>「ワタクーシの城がドイツにある(といっても父祖伝来のものではなく、日本で彼が小金持ちになった後、よその城を買ったらしい)」</li></ul>などなどうさんくさいエピソードには事欠かないじいさんであった。
に返信します。コメントを入力して投稿ボタンを押してください。